避暑地のゆったり読書から、夏がはじまる

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よみはぴにようこそ。
夏の幕開けを、軽井沢で……。それもお気に入りの一冊から始める。
軽井沢の風に吹かれながら、好きな本を開く。あの贅沢、
味わったことありますか?
『フランスベーカリー」さんで焼き立てのパンを香ばしい香りと
あったかさそのままに買ってカフェオレと一緒に頂く。
ふと見上げた浅間山の優しい表情に
ほっとする……。
そんな過ごし方に、読書の楽しみが加わったらもう至福。
そう、避暑と読書は、相性がいいんです。
実は先日、軽井沢に遊びに行ってきました。今日は、そのお話を。
盛り沢山なので、よみはぴ初の連載♪
本日は「軽井沢避暑地文学 テッパン編」。
『風立ちぬ』片手に、文学散歩のガイドも、兼ねてみました。
第二回は、池波正太郎の名作『真田太平記』の聖地巡礼で、
ガラリと雰囲気を変えて、戦国時代のロマンに迫ります。
どうぞお付き合いくださいませ。

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信州のそよ風と読書の贅沢な関係

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朝の読書タイム:鳥の声で始まる至福の1ページ
信州の風って、なんか特別。軽井沢の森の涼しさ、旧軽銀座の、落ち着いた雰囲気。行き慣れたコンドミニアムのリビングから見える小さな池の水がキラキラするのも……。
地元のスーパーで滞在分の食料を買って、涼しい服の上に、楽な上着を一枚。あとはお出かけしたり、お部屋で自分のお家と同じように、のんびり過ごします。
朝早く目が覚めたら、身支度して、一緒に行った他のひとを起こさないように飲み物を淹れ、おめざを用意して、ソファで読書。
鳥の声が気持ちよくて、こころがすーっと楽になるんです。
軽井沢ならこれ、っていう、毎度読み直す愛読書から、
借りたてほやほやのミステリ。
最新の文学評論まで持って行って気分に合わせてたっぷり読み耽るのが、幸せなの。

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軽井沢は文学の聖地――文学散歩への誘い
軽井沢は、御存知の通り文学の聖地。優雅な避暑だけでなく文学散歩も楽しめます。
さっき書いた通り、私の軽井沢読書のテッパンといえばこの2冊。他の本を読んで、手を伸ばさないことも多いのに、必ず持っていっちゃいます。

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堀辰雄『風立ちぬ』:ヒロイン節子の想いを辿る ―旧軽銀座のレトロな魅力
堀辰雄の「風立ちぬ」。
ああ、なーんだ、やっぱそれ?って言われても、来るたび作品の面影を追いながら、旧軽銀座の坂を登り、ショー記念礼拝堂の奥へと歩いてゆきます。
二手橋のあたりで、しばらく矢ヶ崎川の清流を見て、どこに行こうか…と考え考え、踵を返すのですが……。

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つるや旅館:昭和初期の気品ある宿とYouTube愛
旧軽銀座では、堀辰雄の逗留した名旅館「つるや旅館」さんも営業しておられ、建物を見るたびに、往時を想像してしまいます。
ココだけの話、PV拝見するだけでも、様子がよくわかって泊まりたくなります。江戸時代から昭和初期の空気がそのまま生きているお宿。
古き佳き軽井沢って感じで、PV見るだけでも、
ああ、いいなってなりますよ。
こちらの旅館の公式YouTubeチャンネルも、私は大ファンで、毎週楽しみにUPを待っているんです。
とってもお話し上手な取締役の佐藤守さんが、軽井沢のトピックを毎週金曜に更新して、案内してくださいます。
そのお話が好きすぎて、つるや旅館オリジナルのトートバッグを買いに、つるや旅館の売店にお邪魔してしまったことがあるほどです。
視聴者なのは黙ってましたが、すごくドキドキしました。
一歩入るとタイムトリップ?瀟洒な空間が現れます。
中に入ると、ロビーがとっても上品で、時間の流れがゆっくりで。
思い出したら……ふぅ。
他にも可愛い小物や、実際に客室で出されてるお菓子があったり。
……スタッフの方がとてもこまやかに対応してくださいました。ありがとうございました…♪
軽井沢旅行の予定がある方、要チェックですよ(^^)

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私のテッパン!軽井沢に行ったら読む愛読書

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朝吹登水子『私の軽井沢物語』:小さな淑女の夏
では、次のご本……。
フランス文学の名翻訳者、朝吹登水子さん(「悲しみよこんにちは」の名訳で知られます。サルトルとボーヴォワールとも深い親交があり、彼らの著作を日本に広めたことも、忘れられません。)
が……少女時代から夏を過ごした、思い出の記録です。初めて我が家の軽井沢の別荘に出かけた子供の頃、(その頃は祖父があちらに別荘を持っていました。)
母は、小学生だった私に、この本を渡しました。随分おませだった私は、優雅で爽やかな軽井沢の別荘文化の記録を、夢中になって読み、
「ここではお行儀よく、きれいな言葉遣いで過ごそう」
ひと夏を、小さな淑女として過ごす目標など、立てたものでした。
今から思うと、ああしなさいこうしなさいというより、躾になると思って渡したのか、それとも本好きの私に、新しい場所の知識をつけてくれたかったのか……。
この本のおかげで、私は軽井沢を大好きになったと思います。
麦わら帽子にワンピースでお散歩に出ると、小さな頃の自分も付いてきてるみたいな気持ち。
軽井沢の人気観光地である塩沢エリアの「軽井沢タリアセン」の中に、朝吹家の別荘「睡鳩荘」が移築され、一般公開されています。レトロな建築、当時の調度品などが見事で、一見の価値あり。
『思い出のマーニー』の、あの別荘のモデルとなった建物といえば、解りやすいでしょうか?
ついでに映画の原作もご紹介しておきましょう。
訪れる前に、ぜひ『私の軽井沢物語』をご一読ください。
ただ見学する以上に、いろいろ想像できて、自分がそこに招かれたような気分が味わえますよ。
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川端康成『乙女の港』:隠れた少女小説の名作。
それから、あともう一冊。私の超愛読書をご紹介します。
『乙女の港』。文豪川端康成が、少女小説の名手でもあったことは
ご存知ですか?作家・中里恒子をサポート役に完成された名作です。
中原淳一さんの挿絵も、抒情画ファンなら見逃せません。
本当に、今見ても、なんて可愛い!
昭和初期の女子学生たちの友情と成長、夏にヒロインの三千子が、軽井沢を訪れます。軽井沢の別荘地に漂うノスタルジーとリンクして、旧軽銀座のレトロなお店見ながら、「あの乙女たちもこの道歩いたかな?」って考えたり。

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大城レースさんのレース小物でまとう本物の清楚
大正時代からのレース小物の名店「大城レース夏の店」が閉店して悲しかったのですが、テニスコート通りに復活していらして。
お店はちいさくなりましたが、お品の高品質なこと、優美なこと。
女性の夢が、いっぱいに詰め込まれた……としか言えない空間。
もう、懐かしいし嬉しいし。すっかり高校生の頃の私に戻っていました。ため息の出るほど美しい、しっかり選ばれたレースたち。
お土産に、イニシャル入りのハンカチと、ブルーのストライプのメガネケースを頂きました。カフェカーテンも大変良いのが見つかって。
お人柄の良い、紳士なご主人には、すっかりお世話になりました。
ありがとうございました。
次は日傘……それともつけ襟?思い浮かべるだけで、仕草を美しく
したくなります。
美しいものの好きな三千子たちなら、絶対に好きだったでしょうね。
こういうものが慈しめる女性でいたいものです。
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文学散歩の合間に:旧軽銀座でお勧めのカフェ 「気まぐれカフェ 辻堂」さん
そうそう!文学散歩でお腹空かれたら、お勧めのカフェがあります。
めちゃめちゃ美味しいカレーとパスタがあるの。
「気まぐれカフェ 辻堂」2号店さん!
旧軽銀座に面した、二階に一店舗。旧軽井沢店。
観光会館の横の道を、テニスコートの方に向かった途中、
通称テニスコート通り沿いに、2号店さんがあります。

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絶品!オマール海老のカレーと自然体のバリアフリーの優しさ
オマール海老のビスクを使ったカレー、それからパスタも……。
ほっぺが落ちるんじゃないかってくらい美味しかったです。
結構あっちこっちで美味しいもの頂く方ですが、あんなに美味しいの
ちょっと他ではありません!教えたいけど教えたくない……って悩むほどのお味、って言ったら解ります?
実は私、車椅子使ってるので、二階の方のお店、行きたかったのですけど、厳しいかな?って諦めていたんです。そしたらね。
二店舗目は、路面店!嬉しくて嬉しくて。
去年行きそびれたから、今年こそ!
優しく応対してくださって、詳しくメニューのお勧めを教えてくださったり、スタッフさん(オーナー様のご家族かな?伺いませんでした。)も本当にチャーミングな方で。
オーナー様と偶然にもお話できたのですが、そちらの店舗は、なんと
おみ足のお悪い方や、階段を上がるのがつらい方にも、気軽に美味しいお料理とお茶を楽しんで欲しいと、開店を決められたそうです。
お店の居心地や使い勝手はどうだろう、とお声かけてくださって
お気遣いくださったんですよ。そんな嬉しいことってある?
気取らず率直なお話ぶりと笑顔が、とっても印象的でした。
(ブログにも書いていいと、ご快諾まで…(嬉しい)
車椅子は、私のガラスの靴だ、って普段思って暮らす私ですが、
こんな幸せな出会いって。
DIY頑張ってなさったそうで、木の香りも清々しく、次に来たら
バスクチーズケーキとお店イチオシの水出しコーヒーを!って
今から楽しみで仕方ありません。
あ、でもシフォンケーキも!
メニュー制覇したいなぁ。
階段、元気だから大丈夫!って方は、旧軽銀座の二階のお店、浅間山がよく見えて、きっと気持ちが良いと思います。そちらもぜひ!
(書かせて頂きました!来年また伺いますね。ご馳走様でした。
ありがとう存じました!)

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他にもまだある:軽井沢で読みたい名作リスト
美味しいもので一息入れたところで。
もうちょっと他にも、軽井沢が舞台の本ないの?というあなたに
贈るブックリストに戻ると、ありますよ。ふふふ。
- 室生犀星の、父と娘の深い愛情を描いた『杏っ子』
- 三島由紀夫が「おしゃれな小説を書こうと苦心した」という
『美徳のよろめき』 - 小池真理子の、大人の、ほろ苦くて怖さも垣間見える
『恋』あたりが、まずお勧め。軽井沢の美味しい地ビールやワインをお供に、静かな夜を堪能してはいかがでしょう。© Canva / よみはぴ用素材
特選:軽井沢文学散歩おすすめスポット
これ以上長いのもお疲れでしょうから、文学散歩の際に訪問なさるといいかな?と思う場所のリンクをまとめてご紹介しておきます。
- 万平ホテル
三島由紀夫の『美徳のよろめき』に縁のある名ホテル。リニューアルオープンしたばかりで、更に素敵になりました。テラス席で頂く甘酸っぱいアップルパイがお勧め。 - 軽井沢高原文庫
軽井沢を舞台に、どんな名作が書かれたのか、その全貌を知るには一番の場所。堀辰雄・有島武郎・野上弥生子の過ごした建物が移築されています。肉筆原稿が見られる他、イベントもよく開催されていて、充実しています。 - 堀辰雄記念館・室生犀星記念館
追分の方まで、足を伸ばせる方はこちらも。
まとめて、軽井沢観光協会の公式ホームページで紹介されています。他にも興味深いスポットがあることも、閲覧できますよ。© Canva / よみはぴ用無料素材
おわりに:あなたの読書旅は?
本当は、もっともっとお話したいこと、たくさんあるんです(笑)。
今日は、軽井沢の読書、テッパン編をお送りしました。
次回は、池波正太郎の名作『真田太平記』。
戦国ロマンに浸る聖地巡礼のお話です。
あなたはこの夏、どこで何を読みますか?
是非コメントで聞かせてください。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
またよみはぴに遊びに来てくださいね。
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